会社を設立するに当たって、決めなければならない事の1つに、資本金をいくらにするかがあります。
現在の会社法では資本金は1円でもよいことになっています。だからと言って、それは全く現実的ではありません。
資本金は登記事項ですので、履歴事項証明書には記載されますので、あなたの会社との取引を検討している方でも調べようと思えば、いつでも誰でも調べられますので、その点を充分に留意して資本金を考えましょう。
資本金を決定する前に、必ずやって欲しい事があります。それは会社を運営していくのに、1ヶ月にどれ位のお金がかかるのかを計算する事です。それを把握せずに会社という入れ物だけを作っても、上手くはいかないでしょう。すぐに資金ショートする可能性が高くなるからです。是非、以下を参考に計算してみる事をオススメします。
計算してみよう!
以下に、代表的な経費をあげてみました。
- 事務所などを借りる際の契約費用及び家賃
- 設備や各種備品・消耗品の購入費用
- 商品や原材料の仕入代金
- その他の経費
オフィスなどの不動産契約時には通常、敷金・保証金、礼金、仲介手数料がかかります。
加えて、毎月の家賃・共益費もかかります。
業種にもよりますが、通常は、 パソコンや机などの事務用品や、電話やコピー機、FAXなどの各種設備や備品の購入資金も必要になります。
卸売業や小売業、製造業などを営む場合には、商品や原材料の仕入代金
人件費、水道光熱費、通信費(電話代、郵送料等)、消耗品費等、広告宣伝費(HP、チラシ等)
これらを下の式にあてはめて、資本金を決める目安にしてみて下さい。
設立時にかかる経費 + 毎月かかる経費の3~6ヶ月分(売上が回収できる期間によります)= 資本金
その他の注意事項
資本金を決めるときに知っておきたい注意事項をご説明します。
- 資本金が1,000万円を超えると、初年度から消費税が課税されます
- 創業融資を受ける場合、資本金(自己資本)の2倍までしか借りられない
通常は会社設立時より2期間(第1期及び第2期)は、免税事業者になります。
それが資本金が1,000万円を超えていると、この特例は受けられません。また第2期が免税事業者に該当するかどうかは、第1期の上半期の売上高と支払給与が1,000万円を超えない場合です。
資金調達の方法として、日本政策金融公庫から創業融資を利用するという方法があります。
とてもありがたい制度なのですが、無担保無保証の創業融資は、資本金の2倍までしか借りることができません。つまり、資本金が低ければ低いほど借り入れができる幅が狭くなってしまいます。詳しくは、幣所日本政策金融公庫サポートin静岡をご覧下さい。
これらのことも考慮して、適正な資本金額を設定して下さい。
資本金は会社の為に使っていいお金です
よく勘違いされがちなですが、資本金は一旦会社に出資したらといって、ずっとストックしておかなければならないお金ではありません。
設立登記の際に、資本金証明書を作成する為に、振込して、通帳のコピーを取りますが、その後に出金して会社運営の為に使用する分には、何の問題もありません。
たとえば資本金をすべて使い切ってしまっても、別に補てんなどは必要ありません。
ですから、会社設立後に必要な経費プラス運転資金の3~6ヶ月分を資本金に設定するのが、一番理にかなっていると思います。
※だからと言って、出資者への出資額の返還は、「減資」に当たりますので、ここで説明している会社運営の為の経費には当たりません。お間違えないようにご注意下さい。